アクトおおさかは昨年度で開設20年目を迎え、令和5年3月11日(土)にクレオ大阪東1階ホールにて、「つながろう OSAKA つなげよう 未来へ―発達障がいのある方が身近な地域で安心して豊かに暮らし続けるために―」をテーマに、開設20周年記念セミナーを開催いたしました。
第一部では、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授の本田秀夫氏より「支援の本質を考える―誰のため?何が目標?―」と題して、ご本人が幸せに生きていくためにという視点から、ご本人を中心とした支援や特性理解をもとにした支援の大切さ等についてご講演いただきました。基調講演後には、ご本人・ご家族が大阪府内のどこに住んでいても身近な地域で安心して暮らしていけるように当センターが行っている取り組み(主に市町村コンサルテーションの取り組み)を多くの人に知っていただくために、当センターの事業説明を行いました。
第二部では本田氏とともに、NPO法人DDAC(発達障害をもつ大人の会)代表の広野ゆい氏、自閉症の人のバリアフリーを考える親の会はぐくみの古川直子氏、武庫川女子大学文学部心理・社会福祉学科教授であり初代アクトおおさかセンター長の新澤伸子氏にもご登壇いただき、「つながる」をキーワードにこれまでの経験談と、今後大阪府の中でつながっていくために必要なことについてパネルディスカッションで意見交換を行いました。また、より多くのご本人・ご家族の生の声を参加者へ届けるために、6名の方々にご協力いただき、「つながる」をキーワードにご自身の経験談をお話いただいた動画の投影も行いました。
パネルディスカッションではグラフィックレコーディング(※)を活用し、口頭でのやり取りを見える化することで、ご参加いただいた方にもディスカッションの内容を理解していただきやすいように工夫しました。
※グラフィックレコーディング…議論の記録を絵や図で示すもの
登壇者からは、ご本人同士・ご家族同士のつながりで支えられてきたこと、自分で過ごしやすい環境を作っていくことの大切さ、ご本人の発信から支援体制の整備やニーズに応じた新しい資源や仕組みを創造していくこと、資源や情報へのアクセスのしやすさ、多分野における連携の重要性、途切れない体制づくりとそれを行政が主体的に作っていくことの重要性について共有され、参加者の様々な気づきに繋がったことが感想からもうかがえました。
当日は、会場参加とオンライン参加合わせて約260名と多くの方々にご参加いただきました。一部、アンケートでいただいた感想をご紹介いたします。
<第一部の感想>
・基本中の基本ですが、本人の特性に合わせた支援の大切さを改めて教えて頂きました。
・発達障がいの方の特性、思考の特性を知ることができ、なぜそのような行動になるのか少し理解できました。当事者の世界を理解することの重要性を改めて感じました。
・何のための、誰のための支援か、改めて考える機会となりました。本人の居場所、好きなことを共有、他者へもつなげていける支援をしていきたいと思いました。
・学校以外にも自分の居場所や繋がっていける場所が沢山つくられていくことを願います。
・発達障がい児者に限らず、マイノリティの方に寄り添った環境を整える事に努力していく事が求められていると思いました。
<第二部の感想>
・当事者のつながり、家族のつながりの持つ力の大きさを感じました。専門的なことだけではなく、ただ共感してもらえること、一人じゃない、私は私で良いんだと思えることは、生きていく中で大きな支えになると思います。
・つながりを持ったり広めていくためには支援者としても様々な機関とつながりを持ったり、知識を深めたりしないといけない。
・当事者・保護者の話を直接聞く機会はとてもありがたく、それぞれのライフステージを色々な「つなぐ」で当事者も周りも心豊かに過ごせる社会になればと思いました。
・制度が無くても使えるサービスがあれば本人の過ごしやすさにつながると思います。
今回のセミナーを通し、改めて多くの皆様に支えられていることを実感するとともに、ご本人同士・ご家族同士が繋がること、支援者同士が繋がること、ご本人・ご家族と支援者が繋がることの重要性やその繋がり方について皆様と共に考える大変有意義な機会となりました。ご参加いただきました皆様に心より御礼申し上げます。
当センターが20年目を迎えることができましたのも、ひとえにご本人・ご家族を始め関係者の皆様のご理解とご協力のおかげと深く感謝しております。今後もご本人・ご家族の声とニーズを中心にセンター運営、支援体制づくりに努めて参りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。